大迷惑
SothinkとFlashGotは全ての機能がかぶっているというわけではないので、両方を同時にインストールしているユーザもそれなりにいた。そして問題は、最近Maone氏が、FlashGotの新バージョン1.1.9.4をリリースしたことから始まった。このバージョンは旧バージョンの1.1.8とは互換性がない。しかし、Sothink 5.2がインストールされていると、実質的にFlashGot 1.1.8がインストールされているのと同じ状況になり、Sothinkのほうが有効になってしまう。つまり、あまりにデッドコピー過ぎて、「本物」が動かなくなってしまったのだ。
もちろんSothinkがインストールされていない環境では問題なく動くわけで、FlashGot 1.1.9.4をリリースして以来、Maone氏は、SoThinkとFlashGotを併用するユーザからの謎のバグ報告に悩まされるようになった。事実が判明し、しかもせっかく自分がFlashGotをGPLの下でフリーソフトウェアとして公開しているにも関わらずSothinkはプロプライエタリだということで、熱心なフリーソフトウェア支持者であるMaone氏は大変不愉快に思ったそうである。当初は問い合わせにも返事がなかった。結局、Maone氏は、パクられたFlashGot側で対応を余儀なくされたのだった。
事態が動き始めたのは、顛末がSlashdotで取り上げられてからである。騒ぎが拡大し、さすがにまずいと思ったのか、Sothink側も新バージョン5.3をGNU GPLの下で、ソースコード付きでリリースしたのだ。
今回のケースが示唆するのは、まず第一に、目に見えるライセンス違反は実は氷山の一角で、気づかれていないものが多くあるのではないかということだ。たまたま今回は本家が動かなくなるという非常事態のおかげで露呈したが、普通に動いていれば気づかれないままだったろう。フリー/オープンソース・ソフトウェアをプロプライエタリ化しようとする誘惑は、依然少なくないということでもある。
もう一つは、開発者ないし著作権者は案外無力だということだ。Maone氏は全く無名の開発者というわけでもないが、今回のケースでは、Maone氏が一人で騒いでいてもなかなか問題は解決しなかっただろう。Slashdotのような影響力の強い媒体に取り上げられたがゆえに、話が先に進んだのである。また、ライセンス違反に対しては日頃から断固たる姿勢を見せておくということも重要と考えられる。例えば、動画や音声に関するソフトウェアは昔からライセンス違反が多いのだが、ffmpegなどではそうした事例を集めた「名声の殿堂」ならぬ「恥辱の殿堂」(Hall of Shame)を用意しているくらいである。
