パスワード管理Webサービスと連携できるFirefox向けパスワードマネージャ「LastPass Password Manager」

 Blogやオンラインショッピング、SNSなど、利用の際にログインが必要とされるWebサービスは多い。個人情報保護のため、これらに使用するパスワードはすべて異なるものを使うべきなのだが、現実問題としてそのように多くのパスワードを覚えておくのは大変である。そこで活用したいのが、パスワードをWebブラウザ側で一括管理できるパスワードマネージャである。今回紹介する「LastPass Password Manager」は、Webサービスとの連携により、複数のPC/Webブラウザ間でのパスワード同期機能を備えるパスワードマネージャだ。

 LastPassはLastPassが提供する無償のパスワード管理・同期サービスで、Internet ExplorerおよびFirefox(Windows/Mac OS X/Linux)向けプラグイン/拡張機能、そして有償ではあるがiPhoneやBlackBerry、Windows Mobile向けクライアントが提供されている。

 LastPassの最大の特徴は、登録したユーザーIDやパスワードといったログイン情報がLastPassが提供するサーバーに暗号化されて送信・保存される点だ。これにより、複数のPCやスマートフォン間でログイン情報を共有でき、PCや端末毎にいちいちログイン情報を登録する作業が不要になる。

 LastPassのFirefox向けクライアント「LastPass Password Manager」拡張はLastPassのダウンロードページや、Firefoxアドオンサイトからダウンロードできる。LastPassのダウンロードページではInternet Explorer向けのプラグインも入手できるので、Windows環境でFirefoxとInternet Explorerを併用しているユーザーはそちらを利用するとよいだろう。

LastPassの初期設定

 LastPass Password Managerのインストールが終わると、「LastPassへようこそ!」というダイアログが表示される。まずは指示に従ってアカウントを作成しよう(図1~3)。

図1 初期設定ではまず使用する言語を選択する
図1 初期設定ではまず使用する言語を選択する
図2 「アカウントを作成」画面ではメールアドレスとマスターパスワード、マスターパスワードを忘れてしまった場合にメールアドレスに送信される「パスワードリマインダー」、タイムゾーンを入力する
図2 「アカウントを作成」画面ではメールアドレスとマスターパスワード、マスターパスワードを忘れてしまった場合にメールアドレスに送信される「パスワードリマインダー」、タイムゾーンを入力する
図3 前の画面で設定したマスターパスワードを再入力して、「アカウントを作成」をクリックする
図3 前の画面で設定したマスターパスワードを再入力して、「アカウントを作成」をクリックする

 アカウントが作成されると、「データをインポートする」画面が開く。ここでは、Firefoxのパスワードマネージャに登録されているログイン情報をLastPassのサーバーに送信・保存する操作(インポート)が行える(図4、5)。送信・保存は暗号化されて行われるが、もしFirefox内に保存されているログイン情報をアップロードしたくない場合は「いいえ、安全でないアイテムをインポートしないでください」を選択しよう。また、特定のログイン情報のみをインポートすることも可能だ。

図4 Firefox内に保存されているログイン情報をLastPassにインポートする場合は「はい、……」を、しない場合は「いいえ、……」を選択して「続行」をクリックしよう
図4 Firefox内に保存されているログイン情報をLastPassにインポートする場合は「はい、……」を、しない場合は「いいえ、……」を選択して「続行」をクリックしよう
図5 インポートを行う場合は、インポートするログイン情報をこの画面で選択できる
図5 インポートを行う場合は、インポートするログイン情報をこの画面で選択できる

 なお、「LastPass保管庫」へのインポートを行った後も、Firefox内にログイン情報は保管されたままだ。もしインポートを行ったログイン情報を削除したい場合は、次の「安全なコンピュータ」画面で該当のログイン情報を削除できる(図6)。

図6 「安全なコンピュータ」画面では、LastPassにインポートしたログイン情報を削除できる
図6 「安全なコンピュータ」画面では、LastPassにインポートしたログイン情報を削除できる

 また、Lastpass Password ManagerにはWebページ内のフォームに自動的に名字や名前、ユーザー名、性別、住所などを入力するフォーム入力支援機能も備えられている。もしこの機能を利用するなら、次の「フォーム記入を設定」画面で入力するデータを登録しておこう(図7、8

図7 フォーム入力支援機能を利用するなら、「フォーム記入を設定」画面で「はい、フォーム記入に使われるデータを入力して点検します」を選択して「続行」をクリックしよう
図7 フォーム入力支援機能を利用するなら、「フォーム記入を設定」画面で「はい、フォーム記入に使われるデータを入力して点検します」を選択して「続行」をクリックしよう
図8 自動入力するフォーム情報としては、名字や名前、ユーザー名、性別、住所といった個人情報やクレジットカード情報、銀行口座情報などが指定できる
図8 自動入力するフォーム情報としては、名字や名前、ユーザー名、性別、住所といった個人情報やクレジットカード情報、銀行口座情報などが指定できる

 以上の設定が完了すると、「おめでとうございます」画面が表示され、ツールバー右に「LastPass」ボタンが追加される。また、「基本的な使い方の動画を見るにはここをクリックしてください。」というリンクをクリックすると、Firefoxの新規タブで「LastPass – スクリーンキャスト&ビデオ」が開き、動画で使い方を見ることができる(図9、10)。

図9 設定が完了すると、「おめでとうございます」画面が表示される。「基本的な使い方の動画を見るにはここをクリックしてください。」をクリックすると、LastPass Password Managerの使い方を解説する「LastPass - スクリーンキャスト&ビデオ」を閲覧できる
図9 設定が完了すると、「おめでとうございます」画面が表示される。「基本的な使い方の動画を見るにはここをクリックしてください。」をクリックすると、LastPass Password Managerの使い方を解説する「LastPass – スクリーンキャスト&ビデオ」を閲覧できる
図10 「LastPass - スクリーンキャスト&ビデオ」は英語であるが、LastPass Password Managerの基本的な使い方が紹介されている
図10 「LastPass – スクリーンキャスト&ビデオ」は英語であるが、LastPass Password Managerの基本的な使い方が紹介されている

パスワードの自動入力とLastPassの設定

 LastPass Password Managerの設定完了後、Webサービスなどのログインページにアクセスすると、ログインフォームが赤枠で表示されるようになる。また、ページ上部には「生活をシンプルに:このサイトのログイン情報を自動記入するためにLastPassを使いましょう!」というメッセージとともに、「自動記入」「未使用」というボタンがポップアップ表示される。ここで「自動記入」をクリックすれば、赤枠部分にIDやパスワードが自動記入される。

図11 ログインフォームが赤枠で表示されるとともに、ログイン情報の自動入力を行うかどうかポップアップで確認される
図11 ログインフォームが赤枠で表示されるとともに、ログイン情報の自動入力を行うかどうかポップアップで確認される
図12 「自動記入」ボタンをクリックすると、フォームにログインIDやパスワードが記入される
図12 「自動記入」ボタンをクリックすると、フォームにログインIDやパスワードが記入される

 なお、LastPassの設定等はツールバー右のLastPassボタンから行う。一部の操作には初期設定画面で入力したマスターパスワードが必要だ。たとえば、「My LastPass保管庫」を選択すると「LastPassマスターログイン」ダイアログが表示されるので、ここで登録したメールアドレスとマスターパスワードを入力して「ログイン」をクリックしよう。すると、Firefoxの新規タブで「My LastPass保管庫」が開く。この画面ではLastPassに登録しているパスワードの一覧が表示され、編集や削除、共有設定などが行える(図13~15)。

図13 ツールバーの「LastPass」ボタンから、LastPassの各機能にアクセスできる
図13 ツールバーの「LastPass」ボタンから、LastPassの各機能にアクセスできる
図14 一部の操作にはマスターパスワードによるログインが必要だ
図14 一部の操作にはマスターパスワードによるログインが必要だ
図15 「My LastPass保管庫」では、LastPassに保存しているログイン情報一覧を確認できる
図15 「My LastPass保管庫」では、LastPassに保存しているログイン情報一覧を確認できる

LastPassからログイン情報をインポートする

 最後に、LastPassに送信・保存しておいたログイン情報をFirefoxにインポートする手順を紹介しておこう。まず、LastPassボタンのドロップダウンメニューから「ツール」-「エクスポート」-「Firefox」を選択する。すると確認ダイアログが表示されるので、ここで「はい」をクリックすればよい。これだけでLastPass上に保存しておいたログイン情報をFirefoxのパスワードマネージャにインポートできる(図16)。

図16 LastPassボタンのドロップダウンメニューから「ツール」-「エクスポート」-「Firefox」で、LastPassのサーバーからログイン情報をダウンロードしてFirefoxにインポートできる
図16 LastPassボタンのドロップダウンメニューから「ツール」-「エクスポート」-「Firefox」で、LastPassのサーバーからログイン情報をダウンロードしてFirefoxにインポートできる

 なお、LastPassはLastPass側でのログイン情報の管理を「安全」とうたっているものの、100%確実に情報流出がないとは言い切れない。そのため、LastPass Password ManagerやFirefoxのパスワードマネージャを過信せず、本当に大事な情報についてはパスワードマネージャに登録しないなど、適切な管理を行っていただきたい。