米Oracle、Hudsonコミュニティと衝突。Hudsonの商標保有を主張するも事実なし?

 Sun Microsystemsの下で進められていたオープンソースプロジェクト「Hudson」のコミュニティが、新しい所有者である米Oracleと衝突している。HudsonはOracleのホスティングサイト「java.net」からGitHubへの移行を進めているが、それに対しOracleはHudsonの商標保有を主張。しかし、実際はOracleは商標を保有していない可能性があることが報じられている。

 HudsonはJavaベースの継続的インテグレーション技術。元Sunの川口耕介氏(現在はCloudBeesに所属)が中心となって開始したオープンソースプロジェクト。

 Hudson開発者はOracleのホスティングサイト、java.netに対する不満から、11月後半よりGitHubへプロジェクトを移行させる計画が進んでいた。しかしGitHubにソースコードを移行する直前の11月30日早朝、Oracleのツール・ミドルウェア担当上級副社長であるTed Farrell氏がメーリングリストにメッセージを投稿し、Hudsonの商標は「Sun買収によりOracleが取得している」と主張した。同氏は「オープンソースなのでフォークを阻止することはできない」としながら、OracleがHudsonというプロジェクト名の商標を所有していると警告している。Farrell氏はまた「数週間以内に変更を発表する予定」としつつ、「『Oracleは邪悪だ』と書くのは自由だが、OracleはHudsonが好きで、コミュニティを成長させたいと思っており、そのようなレッテルを貼られるのはフェアではない」とも記している。

 しかし、英ITニュースサイトThe Registerによると、「SunはHudsonという名称の商標登録を出願していなかった」と元Sun社員が述べているとのこと。これは明確な決定の下で行われたとのことで、実際米特許商標庁にOracleが所有するHudsonの登録はなく、欧州ではフォークがはじまる前の2010年10月29日に欧州共同体商標意匠庁にOracleが申請したばかりであることがわかった、とも報告している。

 The RegisterではOracleの主張の根拠について、川口氏はSun時代にプロジェクトを開始しており、米国法では従業員が雇用主のリソースを利用して生み出した資産は雇用主の所有となることから主張したのだろうか、と記している。

 Hudsonユーザーはすでにjava.netからバグ追跡システムなど一部を移しており、メーリングリストはGoogle Groupsに移っている。Hudson Labsでは、これまでの動きを時系列で記している。

 2010年1月にSunを買収したOracleは、Sunが展開してきた多数のオープンソースプロジェクトを手に入れたが、LibreOfficeなど、そのいくつかはOracleと袂を分かち、新しいプロジェクトとして再スタートを切っている。

Hudson
http://www.hudson-ci.org/

米Oracle
http://www.oracle.com/

The Register
http://www.theregister.co.uk/

Hudson Labs
http://hudson-labs.org/