仮想マシンを自由自在に管理できるXenServerのスナップショット機能を活用する 4ページ

仮想マシンのインポート/エクスポート

 先に説明したスナップショットや仮想マシンの複製機能はあくまでXenServer上に複製を作るだけの機能であるため、サーバー自体の故障やデータ消失といったトラブルに対しては別途対処を行っておく必要がある。仮想マシンのバックアップには、仮想マシンのエクスポート/インポート機能を利用する。この機能はサーバー外に仮想マシンを移動させたり、また別のマシンで動作させていた仮想マシンを移動させるといった用途でも利用できる。

仮想マシンのエクスポート

 XenServer上の仮想化マシンをバックアップしたい、もしくはほかの仮想環境上で動作させたい、といった場合は、対象とする仮想マシンのスナップショットを作成し、そのスナップショットをエクスポートすれば良い。エクスポート操作を行うと、対象とする仮想マシンはXVA(Xen Virtual Appliance)形式と呼ばれる形式の単一ファイルに変換され、ネットワーク経由でXenCenterを実行しているPCに転送される。XVAファイルはその仮想マシンの設定情報や使用しているすべての仮想ディスクが格納されたもので、このファイルから完全な仮想マシンが復元可能となっている。

 仮想マシンのエクスポートを行うには対象とするスナップショットを選択し、「操作」メニューの「バックアップとしてエクスポート」を選択すれば良い。XVAファイルの保存先を指定するダイアログが表示され、続いてファイルのダウンロードが開始される(図17)。

図17 「バックアップとしてエクスポート」では、仮想マシンを単一のファイルとしてダウンロードできる
図17 「バックアップとしてエクスポート」では、仮想マシンを単一のファイルとしてダウンロードできる

 ダウンロードの状況は、コントロールドメインの「ログ」タブで確認できる(図18)。なお、XVAファイルには前述のとおり仮想ディスクも含まれており、そのためファイルサイズも大きくなることが多い。仮想ディスクは圧縮されるものの、仮想ディスクのサイズや利用状況によっては数十GBというサイズになることもある。さくらの専用サーバで提供されるデフォルトのネットワーク環境は共有の10Mbps回線であるため、ネットワーク転送には注意が必要だ。実行の際は十分な時間とディスク容量を確保してから行ってほしい。頻繁に仮想マシンの転送を行うなら、より高速な回線の契約を検討しておいたほうが良いだろう。

図18 ダウンロードの進捗は「ログ」タブで確認できる。
図18 ダウンロードの進捗は「ログ」タブで確認できる。

仮想マシンのインポート

 XVA形式で保存された仮想マシンは、「ファイル」メニューの「インポート」からインポートできる(図19)。

図19 「ファイル」メニューの「インポート」から仮想マシンのインポートを実行できる
図19 「ファイル」メニューの「インポート」から仮想マシンのインポートを実行できる

 「インポート」ダイアログが表示されるので、ここでインポートするXVAファイルを指定する(図20)。

図20 「インポートファイル名」でインポートしたいファイルを指定する
図20 「インポートファイル名」でインポートしたいファイルを指定する

 あとは仮想マシンの作成時と同様、保存先などを指定していけば良い。なお、仮想マシンによっては仮想ネットワークインターフェイスが設定されていないものあるので、その場合は手動で追加を行っておく(図21)。

図21 必要に応じて仮想ネットワークインターフェイスの設定を行っておく
図21 必要に応じて仮想ネットワークインターフェイスの設定を行っておく

 設定が完了するとXVAファイルのアップロードが開始され、続いてインポート処理が行われる。エクスポートの際と同じく、ファイルサイズや回線状況によってはインポート処理に時間がかかる場合がある(図22)。

図22 インポート処理の進捗は「ログ」タブで確認できる
図22 インポート処理の進捗は「ログ」タブで確認できる

コラム アプライアンスインポート/エクスポート機能を利用する

 XenServerではXVA形式のほか、OVF(Open Virtualization Format)と呼ばれる形式でも仮想マシンのインポート/エクスポートが可能だ。OVF形式の仮想マシンイメージはXenServerだけでなくVMwareやVirtualBoxといったほかの仮想化システムでも利用でき、これらと仮想マシンをやり取りする際に有用だ。

 OVF形式仮想マシンのインポートは、「ファイル」メニューの「アプライアンスインポート」から行える。また、エクスポートは同じく「ファイル」メニュー内にある「アプライアンスエクスポート」から可能だ(図23)。作業手順はXVA形式でのインポート/エクスポートとほぼ同じなので割愛するが、こちらもネットワーク経由で仮想マシンイメージのやり取りを行うため、回線状況によっては処理に時間がかかる点には注意してほしい

図23 アプライアンスエクスポートでは同時に複数の仮想マシンをエクスポート可能だ
図23 アプライアンスエクスポートでは同時に複数の仮想マシンをエクスポート可能だ