安定性と品質を強化した「KDE SC 4.9」がリリース、Qt 5に向け準備へ

 The KDE Communityは8月1日、デスクトップ環境「KDE Software Compilation 4.9(KDE SC 4.9)」をリリースした。新機能の追加だけでなく安定性やパフォーマンスの強化もおこなわれており、開発者らは「過去最高のリリース」と評している。

 KDE SC 4.9は、1月に公開した「KDE 4.8」以来のメジャーアップデート版。開発チームでは大きな目標として品質や安定性の改善を掲げており、テストプロセスではこれらに注力して取り組んだという。

 KDE SCはデスクトップ環境「KDE Plasma Workspaces」およびアプリケーション集「KDE Applications」、開発環境「KDE Development Platform」というコンポーネントで構成されているが、それぞれで新機能の導入や既存機能の強化が図られている。

 KDE Plasma Workspacesでは、まずファイルマネージャ「Dolphin」でさまざまな強化が加わっている。「進む」ボタンや「戻る」ボタンが導入されたほか、評価/タグ/イメージ/ファイルサイズといったメタデータ表示や、メタデータプロパティによるソートが可能となった。ファイルマネージャからコミットなどの操作を実行できるバージョン管理システムサポートも強化され、SubversionやCVS、Gitサポートに加え、新たにMercurialサポートが追加された。

 ウィンドウマネージャ「KWin」では複数のデスクトップを作成して使い分ける機能「Activities」の強化などが行われ、また端末エミュレータ「Konsole」ではタブのデタッチ機能などが追加されている。

 ApplicationsにはKDEベースのさまざまなアプリケーションが含まれているが、それぞれで機能改善が行われている。たとえばドキュメントビューア「Okular」ではPDFアノテーション(注釈)の保存/印刷が可能となり、検索やブックマーク機能も改善された。イメージビューア「Gwenview」では、フルスクリーン表示オプションが加わっている。

 GUIや各種ライブラリを提供しKDE環境のベースとなるDevelopment Platformについては、バグ修正と性能改善が中心となったという。現在「Qt 5」をベースとする次期版「Frameworks 5」(仮名称)の作業が進められており、現在のPlatformはほぼフリーズ状態であるとのこと。また、PlasmaをQMLベースにするためのQGraphicsViewの分離、KDEライブラリとPlasma WorkspacesでのQt Quickサポート改善なども報告されている。推奨されるQtのバージョンは4.7.4または4.8.0。

 なお、このリリースはKDEの貢献者の1人で5月に逝去したClaire Lotion氏に捧げるとしている。

The KDE Community
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