VFIOのサポートが加わった「QEMU 1.3」が公開

 オープンソースのエミュレータ「QEMU」開発チームは12月3日、最新版となる「QEMU 1.3」をリリースした。Linux 3.6で導入されたVFIOサポートやLLVMでのコンパイルサポートなどが行われている。

 QEMUはCPUやハードウェアをエミュレートする汎用エミュレータソフトウェア。非x86のLinuxプラットフォームでx86のLinuxバイナリを動かすことを目的に立ち上げられたプロジェクトで、プロセッサだけでなくシステムのエミュレーションも可能。仮想化ソフトウェアのエミュレーションエンジンとしても利用されている。ライセンスはGPLv2。

 バージョン1.3は9月に公開されたバージョン1.2に続くリリースとなる。PCIデバイスを仮想マシンに割り当てるためにLinux 3.6で導入されたVFIO(Virtual Function I/O)を利用できるようになったほか、PCIデバイスのバスマスタ設定ビットのエミュレートも行われるようになった。これにより、このビットを設定するまでPCIデバイスはDMA転送を実行できなくなる。そのほか、各種CPUやデバイスのエミュレーションも改良された。USB3対応も強化し、NBD(Network Block Devices)サーバーも搭載した。AHCIコントローラーのバグ修正など、細かな機能改善が加わっている。

 開発関連では、LLVMコンパイラ環境のCフロントエンドであるClangでのコンパイルがサポートされたほか、ピクセル処理には画像処理ライブラリPixmanを利用するよう変更されている。そのほか、QEMUから約6年前にフォークした「qemu-kvm」の開発リポジトリ(qemu-kvm.git)がQEMUのメインリポジトリ(qemu.git)にマージされている。

 QEMU 1.3は、プロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

QEMU
http://www.qemu.org/