2年3か月ぶりのメジャーアップデート、「Debian 7.0」リリース

 Debian開発チームは5月4日、Linuxディストリビューション「Debian 7.0」(開発コード「Wheezy」)をリリースした。1つのシステムに複数の異なるアーキテクチャ向けバイナリをインストール/実行できる「Multiarch」サポートや、XCPおよびOpenStackといったクラウド関連技術のサポート強化などが特徴となる。

 2011年2月に公開された「Debian 6.0」(「Squeeze」)から約2年3か月ぶりのアップデートとなるWheezyでは、異なるハードウェアアーキテクチャ向けのライブラリやパッケージを同一のシステム上にインストールできる「Multiarch」が新たに導入された。Multiarchでは32ビットおよび64ビットのソフトウェアを同時に同一システムにインストールし、その依存関係を自動的に解決できるだけでなく、クロスコンパイル環境の構築などにも利用できる。

 また、「OpenStack」や「Xen Cloud Platform(XCP)」といったクラウド基盤技術のサポート強化も行われている。これらを利用してプライベートクラウドをより容易に構築できるようになっている。なお、XCPについては、LinuxディストリビューションでサポートされるのはDebianが初という。

 インストールプロセスも改善されており、新たに合成音声による案内を使ってインストール作業を行えるようになった。点字機器を利用しない視覚障害者ユーザーのインストールなどを支援するという。なお、64ビットPC向けにUEFIを使用したインストールや起動もサポートするが、UEFI Secure Bootには未対応。

 systemdの実験的サポート、libav-toolsの導入などマルチメディア機能の強化、AppArmorによる強制アクセス制御のサポートなども加わった。Linuxカーネルのバージョンは3.2.41で、デスクトップ関連パッケージとしてはX.Org 7.7やKDE 4.8.4、GNOME 3.4などが提供される。そのほか、主要なパッケージとしてはLibreOffice 3.5.4、GIMP 2.8.2、Samba 3.6.6、MySQL 5.5.30、PostgreSQL 9.1、Nagios 3.4.1、GCC 4.7.2、Perl 5.14.2、PHP 5.4.4、Python 2.7.3/3.2.3などが提供される。

 Wheezyの対応アーキテクチャはi386およびamd64、sparc、powerpc、ia64、mips、mipsel、s390、armel、armhf、s390x。kfreebsd-amd64およびkfreebsd-i386も技術プレビューとしてサポートする。

Debian Project
http://www.debian.org/