外部データのやり取りを強化した「PostgreSQL 9.3」公開ーーJSON、レプリケーションなども強化

 PostgreSQLを開発するGlobal Development Groupは9月9日、オープンソースのリレーショナルデータベースPostgreSQLの最新版「PostgreSQL 9.3」を公開した。JSONサポートの強化や正規表現を使ったインデクシング、外部データソースとのやりとりなど、さまざまな新機能が盛り込まれている。

 2012年9月に公開された9.2からちょうど1年での最新版リリースとなる。大きな変更点としては、外部データラッパー「Foreign Data Wrapper」の強化や信頼性/可用性の向上、JSONサポートやVIEWの強化などが挙げられている。

 Foreign Data Wrapper(FDW)はPostgreSQL 9.1で導入された、外部データソースをPostgreSQLで扱うための機構。今までは外部データの読み取りのみが可能であったが、本バージョンからは更新も可能になり、双方向のデータやり取りが行えるようになった。9.3ではまた、複数のPostgreSQL連携のためのフェデレーションドライバも加わった。

 信頼性/可用性を向上させる仕組みとして、新たにFast Failoverという高速フェイルオーバー機能が追加された。1秒以内にレプリカをマスターへ昇格させることが可能になり、99.999%の可用性を実現するという。また、ストリーミングレプリケーションも拡張され、リマスターが可能となった。ストリーミングレプリケーションにおけるOS依存性の排除も実現されている。

 フリーズされているデータの高速なコピーを可能にする「COPY FREEZE」コマンドや、バックアップを高速化する並列バックアップ機能も加わっている。

 そのほかの新機能としては、データに対するチェックサムを記録するオプションの追加がある。このオプションはクラスタ全体に対しての設定のみが可能で、個々のデータベースやオブジェクトには適用できない。この機能によりデータ破損につながるハードウェアなどを効果的に検証できるが、性能に支障が出る可能性もあると注意している。また、ユーザー定義のバックグラウンドワーカープロセスも加わっている。共有メモリエリアにアタッチし、カスタマイズされたサーバープロセスとして運用できるもので、サーバーの状態をモニタリングするなどさまざまな用途が考えられるとしている。FROM句でSELECT文を利用できる自然結合も新機能となる。

 アプリケーション開発者向けに有用な新機能としては、マテリアライズドビュー、更新可能なビュー、再帰ビューなどの機能が加わった。JSON関連の機能も強化し、JSONデータのパーシングや表構成などを行う関数など、新たに10の関数と演算子が利用できるようになった。

 PostgreSQL 9.3はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

PostgreSQL
http://www.postgresql.org/