新サービス「Orchestration」と「Matering」が加わった「OpenStack 2013.2(Havana)」がリリース

 オープンソースのクラウド基盤「OpenStack」を開発する非営利団体OpenStack.orgは10月17日、最新版となる「OpenStack 2013.2」(開発コード「Havana」)公開を発表した。OpenStackの利用者がどの程度リソースを消費したのかを計測する「OpenStack Metering」や、Amazon Web Services(AWS)などと互換性のあるオーケストレーションサービス「OpenStack Orchestration」という新コンポーネントが導入されたほか、約400もの新機能が加わっている。

 OpenStackは米Rackspace Hostingと米航空宇宙局(NASA)によって開始されたオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアプロジェクト。プライベートクラウドやハイブリッドクラウドの構築に利用できるほか、ホスティングサービスプロバイダがパブリッククラウドを構築するためにも利用できる。ライセンスはApache License 2.0。米Red Hat、米IBM、英Canonical(「Ubuntu」)など多数のベンダーが採用し、現在72カ国358サイトで使われているという。

 OpenStackでは半年おきのリリースサイクルを導入しており、Havanaは4月に公開されたGrizzly(バージョン2013.1)から6か月を経た、OpenStackとしては8回目のリリースとなる。開発サイクルにおいては900人以上の開発者が貢献し、これは、Grizzlyの場合と比べて70%も増加しているという。

 OpenStack 2013.2では、「OpenStack Metering」(コードネーム「Ceilometer」)と「OpenStack Orchestration」(コードネーム「Heat」)という2つのプロジェクトが新たに統合された。MeteringはOpenStackのCompute(Nova)やNetworking(Neutron)、Block Storage(Cinder)、Image Service(Glance)などの利用量を利用者ごとに計測するもので、従量課金や負荷監視などの用途に利用できるという。

 また、OrchestrationはAWSやCloudWatchなどと互換性を持つオーケストレーションサービスを提供するもの。OpenStackや仮想マシンに対する操作をテンプレートに記述し、それを自動実行させることが可能になる。仮想マシンの自動構築や、自動スケーリングなどに利用できるという。

 これ以外のコンポーネント単位でも強化が図られた。たとえば演算ノードを構築する「Nova」では、コンテナを利用してアプリケーション実装を効率化できるという。前バージョンで加わった分散クラスタ管理のための「Cells」では、スケジューラーの強化やフィルタリングのサポートが加わった。このほか、PCIデバイスを直接インスタンスにアクセス可能にするPCIパススルーにも対応している。管理機能「Dashboard」(Horizon)からのインスタンスのリサイズが可能になるなど、利用できる機能も増えた。

 クラウドストレージの「Swift」では、バージョン1.8で導入したリージョンコンセプトを強化し、グローバルクラスターをサポートした。これにより高可用性や災害復旧対策を強化できるという。設定ファイルのconf.dに対応、設定管理を改善できるという。これらに加えて、性能も強化した。

 ブロックストレージ「Cinder」では、バックアップサービスの改善、バックエンドへのエンドツーエンドの暗号化、QoSなど、エンタープライズ向けの機能が加わった。

 このほか、仮想ネットワーク「Quantum」、認証管理「Keynote」など各コンポーネントで多数の機能強化が加わっている。

OpenStack.org
http://www.openstack.org/