オンラインストレージソフトウェア「ownCloud 6」リリース、ODF文書の共同編集が可能に

 12月11日、オープンソースのファイル共有・同期ソフトウェア「ownCloud 6 Community Edition」がリリースされた。ODF形式のドキュメントを共同編集できる「ownCloud Documents」などの新機能が導入され、安定性も強化した。

 ownCloudはWebブラウザやWebDAVクライアントからアクセスできるオンラインストレージを構築するソフトウェア。2010年にKDEコミュニティの一員である Karlitschek氏を中心として開発が始まったもので、商用のオンラインストレージサービス「Dropbox」を置き換えられるものを目指している。Dropboxと異なる点として、自分が管理するサーバー上にデータを格納できることがあり、これによりプライバシなどの問題を解決できるという。また、アドレス帳やスケジュール、ブックマークなどの同期機能も提供する。商用ユーザー向けにサポートなどを提供する同名の企業も立ち上がっており、今週440万ドルを調達したことを発表している。

 ownCloud 6は3月に公開されたバージョン5に続くメジャーバージョンとなる。「これまでで最も高速かつ洗練された外観を持ち、容易に使えるバージョン」という。

 新機能として、「ownCloud Document」が導入された。ドイツのKOと共同開発した機能で、Webインターフェイスから新規作成したドキュメントやアップロードした既存ドキュメントの共有やリアルタイムでの共同編集ができる。対応フォーマットはOpenOfficeなどで使われるODF。共同編集を行うユーザーはアバターとともにドキュメントの横に表示され、ユーザー毎に異なる色で変更個所が表示される。同様のソリューションはプロプライエタリでは提供されているが、オープンソースでの提供は初めてという。

 ユーザーインターフェイスも改善し、画面を簡素化することで作業に集中できるという。写真やファイルタイプのサムネイル表示によるファイルプレビュー機能が加わり、最新のファイルやフォルダなどの状況を把握できるアクティビティフィードが導入された。誤って削除したファイルを元に戻す「undelete」も可能になり、すでにアップロードされているファイルと同じ名称のファイルをアップロードする際に名称変更や置き換えを選択できるコンフリクト処理も加わった。

 PDFファイルをダウンロードせずにWebブラウザで閲覧する機能や、写真ギャラリーの管理機能も拡充した。バグも多数修正され、ファイル処理の高速化や最適化を通じて性能も改善している。

 ownCloud 6のCommunity EditionはプロジェクトのWebサイトより入手できる。ライセンスはAGPLv3。WindowsやMac OS X、Linux向けのデスクトップクライアントや、AndroidおよびiOSに対応するモバイルクライアントも提供されている。

ownCloud
http://owncloud.org/