分散型データベースシステム「Apache HBase 0.98」リリース

 Apache HBase開発チームは2月17日、分散型データベースシステム「Apache HBase 0.98」をリリースした。性能やセキュリティの強化が行われている。

 Apache HBaseはJavaで実装された分散型データベースシステム。Hadoop分散ファイルシステム(HDFS)をベースとしている。Googleが内部で使用している分散型ストレージシステム「Bigtable」構想を参考に作成したもので、カラム指向、強い一貫性、自動・設定可能なテーブルシャーディング、可用性、拡張性などの特徴を持つ。大規模なデータに対してランダムでリアルタイムの読み込み/書き出しが必要な場合などに適しているという。ライセンスはApache License 2。

 HBase 0.98は10月に公開されたバージョン0.96に続く最新版となる。新しい機能として、HDFSからの読み込みを行うClassLoaderが加わった。サービスを再開することなくクラスパスにフィルタを追加する際に役立つという。またリバーススキャンをサポートし、スナップショットファイル上でのMapReduce処理も可能となった。そのほか、リージョンが多数ある環境での圧縮を管理しやすくするという新技術「Stripe Compaction」の導入や、HBase Shellでのコンパクションの切り替えサポートなども行われている。

 性能面では、書き出しのスループットを改善するためHLog向けのログ先行書き込みモデルが導入された。キーバリューコンストラクションをマップフェイズからリデュースフェイズに移すことによる一括読み込みの性能の改善も行われている。サーバーサイドでの暗号化やキーバリュー単位でのセキュリティ設定なども加わった。

 HBase 0.98は0.96と後方互換性があり、両バージョンが混在したクライアントとサーバー環境でシームレスな運用が可能という。ただしその場合、0.98で加わった新機能は無効となる。また、Java APIレベルでのバイナリ互換はない。

Apache HBase
https://hbase.apache.org/