オープンソースのクラウド基盤「OpenStack Icehouse」がリリース、Novaがローリングアップデート対応

 OpenStack Foundationは4月17日(米国時間)、オープンソースのクラウドインフラストラクチャソフトウェア「OpenStack 2014.1」(開発コード「Icehouse」)をリリースした。新プロジェクトとしてデータベースサービスの「Trove」が加わるなど多数の新機能が追加されている。

 OpenStackは米Red Hatや米IBM、英Canonicalなど多数のベンダーが支援するオープンソースのクラウドインフラストラクチャソフトウェア。OpenStackのコンポーネントを利用して、独自のInfrastracture as a Service(IaaS)型クラウドサービスを構築できる。企業や団体がプライベートクラウドを構築するために利用できるほか、ホスティング事業者が独自のクラウドサービスを構築するための土台としても利用できる。プロジェクトは米Rackspace HostingとNASA(米航空宇宙局)によって2010年に立ち上げられ、2012年には開発母体となる非営利団体OpenStack Foundationが設立しされている。

 開発チームは春と秋に年2回のリリースを行っており、OpenStack 2014.1は2013年10月に公開された「OpenStack 2013.2(Havana)」に続くリリースとなる。累計で9回目のリリースとなり、前回から32%増の1202人が貢献した。ベンダーとしては、Red Hat、IBM、Hewlett-Packard(HP)などが多く参加したという。

 OpenStack 2014.1では約350の新機能と2900以上のバグ修正が行われているという。中核となる仮想マシン作成・管理サービス「OpenStack Compute」(Nova)では、ローリングアップデート機能が導入された。これまでは最新版にアップグレードするときにシャットダウンする必要があったが、ローリングアップデート機能により制御インフラを最初にアップグレードし、その後個々のノードをアップグレードすることが可能となった。このため、稼働中のワークロードへの影響を最小限に抑えることができるという。このほか、ブートプロセスを改善し、データ層へのアクセスを高速化するなどの強化も図られている。

 新たなモジュール「OpenStack Database Service」(Trove)も導入された。これまで「Project Red Dwarf」として開発が進んでいたもので、データベースリソースの管理を行うもの。APIを利用してMySQLなどのデータベースのスキーマなどを操作できるという。MySQLのほか、MongoDB、Apache Cassandraなどにも対応予定とのことだ。

 分散オブジェクトストレージ「OpenStack Object Storage」(Swift)では、検出機能を導入した。APIによりオブジェクトストレージクラウドの機能を問い合わせるなどのことができるという。レプリケーション機能も一新され、データの転送を効率化し性能を改善する「s-sync」が導入された。

 ネットワーキング機能「OpenStack Networking」(Neutron)ではNovaとの統合が強化され、プロビジョニング性能やインスタンスの一括作成における一貫性などを改善した。オーケストレーションの「OpenStack Orchestration」(Heat)では、追加リソースの自動スケールが利用できるようになった。新しい設定APIを利用して、アプリケーションのライフサイクル管理が可能となったほか、管理者に制限されていた機能がエンドユーザーにも提供できるようになった。

 IDサービスの「OpenStack Identity Service」(Keystone)ではフェデレーションを初期サポートした。これにより、ユーザーは一度の認証でプライベートとパブリックの両方のOpenStackベースのクラウドにアクセスできるという。

 このほか、管理ダッシュボード「OpenStack Dashboard」(Horizon)、リソース利用などの情報を収集する「OpenStack Telemetry」(Ceilometer)などのモジュールも改善されており、たとえばHorizonでは16言語に対応した。開発段階(インキュベーション)レベルのプロダクトとして新たに「OpenStack Bare Metal」(Ironic)、「OpenStack Messaging」(Marconi)、「OpenStack Data Processing」(Sahara)の3プロジェクトも発表されている。

OpenStack Foundation
http://www.openstack.org/