Khronos Groupが「OpenGL 4.5」をリリース

 標準化団体The Khronos Groupは8月11日(米国時間)、グラフィックスライブラリ「OpenGL 4.5」の仕様を正式リリースした。合わせて次世代のOpenGLイニシアティブに向けた参加を呼びかけたほか、「SPIR 2.0」仮仕様も公開した。また、「DirectX」を開発する米MicrosoftのThe Khronos Groupヘの加入も明らかになった。

 OpenGLは2D/3DコンピューターグラフィックスAPIを提供するライブラリ規格。OSやプログラミング言語に依存せず、クロスプラットフォームで動作するのが特徴。各社がOpenGLに準拠したライブラリを提供しており、ハードウェアアクセラレーションを利用した高速なグラフィックス描画や各種処理を行える。

 OpenGL 4.5は、2013年7月に公開されたバージョン4.4から1年1か月ぶりの最新版となる。本バージョンでは、OpenGLステートセレクタを利用せずに直接OpenGLステートを更新できるDirect State Access(DSA)拡張が加わった。これを利用して、オブジェクトをコンテキストにバインディングすることなくステートを修正したりクエリをかけられるという。

 また、ペンディング中のコマンドに対してはアプリケーション側でフラッシュ(flush)制御が可能となった。これにより、高性能なマルチスレッドアプリケーションを実現できるるという。堅牢性では、GPUリセットが動作中のアプリケーションに影響を与えないようにするなど、プラットフォームの安全性と信頼性を改善した。

 このほか、3月に仕様公開されたOpenGL ES 3.1 APIとシェーダーとの互換性を実現し、デスクトップ上でOpenGL ESを利用するアプリの開発が容易になった。また、DX11エミュレーションにより、OpenGLとDirect3D間の移植も容易になるという。

 OpenGL 4.5の仕様はプロジェクトのWebサイトより入手できる。すでに同日、Khronosの参加企業である米NVIDIAがベータ版ながらOpenGL 4.5をサポートしたドライバをリリースしている。

 Khronosは同日、「SPIR 2.0」の仮仕様も公開した。SPIRはStandard Portable Intermediate Representationの略で、LLVMプロジェクトの中間表現(IR)とOpenCL Cをベースとしている。コンパイラがSPIRを書き出し、Open CL実装を利用してハードウェアを処理することで移植性を高めることを目指す取り組みとなる。

The Khronos Group
https://www.khronos.org/

OpenGL
https://www.khronos.org/opengl/

SPIR
https://www.khronos.org/spir