「QEMU 2.2」がリリース

 オープンソースのエミュレーター「QEMU」の開発チームは12月9日、最新版「QEMU 2.2」をリリースした。ターゲットとして新たにTriCoreのサポートが加わるなど、機能強化や不具合の修正が行われている。

 QEMUは特定のマシン向けに開発されたプログラムを他のマシンで動かす「マシンエミュレータ」機能と、ホストCPU上で別のCPU向けコードを実行する「バーチャライザー」機能を備えており、KVMなどほかの仮想化技術と組み合わせても利用されている。

 QEMU 2.2は8月に公開された「QEMU 2.1」に続く最新版で、ARMやMIPS、PowerPC(IBM/pSeries、Freescale/BookE)、s390、SPARCの各アーキテクチャのサポートを強化した。たとえばARMでは、EFL(Enlightenment Foundation Libraries)イメージ起動時に「-kernel」オプションがない場合でも、デバイスツリーの読み込みが可能となるなどの強化が加わった。

 また、TriCoreが新たにターゲットとしてサポートされ、x86ではQ35マシンタイプでのIOMMU(Input/Output Memory Management Unit)/VT-dエミュレーションのサポートなどが加わっている。KVMではAVX512のサポートが加わり、Xenではコマンドラインオプションの利用によりマルチブートカーネルの利用が可能となっている。

 デバイスエミュレーションではSCSIでベンダー固有のコマンドが利用できるなどの強化が加わり、USB 2.0のマウスとキーボードに対応した。USBではXHCI/EHCI/UHCIコントローラーのホットプラグもサポートされた。

 ネットワーク関連ではSamba 4.1に対応した。ブロックデバイスとツールも強化され、新たに2TB以上のParallelsのイメージをサポートする。また、NBDやlibiscsiなどネットワークベースのドライバはWin32ホストでも動くようになった。

 トレース機能では、バイナリとレースデータを出力するSystemTapを提供する。生成されたトレースはQEMUのsimpletrace.pyスクリプトでパーシングできるという。

QEMU
http://www.qemu.org/