WebRTC「Firefox Hello」を強化した「Firefox 35」がリリース

 Mozillaは1月13日、オープンソースのWebブラウザ「Firefox」の最新版となる「Firefox 35」を公開した。WebRTCベースのリアルタイムコミュニケーション機能「Firefox Hello」が強化されたほか、CSSフィルタのデフォルトでの有効化など、技術面でも多数の強化が図られている。

 Firefox 35は2014年12月2日に公開されたバージョン34に続く最新版。Mozillaは6週間おきに最新版をリリースするサイクルを組んでおり、リリースサイクル通りに公開された。

 本バージョンではFirefox 34で導入したWebRTCベースのリアルタイムコミュニケーション「Firefox Hello」が強化され、通話やチャット開始のステップを省略できる会話ルーム機能が追加された。Firefox Helloはブラウザ内でプラグインなしに動画や音声を利用したやりとりを行えるサービス。Firefox、Google Chrome、OperaといったWebRTC対応のWebブラウザ同士で特定のアカウントを作成することなく通信できる。本バージョンでは会話ルーム機能として、メニューバーまたはカスタマイズパネルにあるHelloアイコンをクリックすると「通話を開始」ボタンが表示されるようになった。招待した相手がリンクをクリックして参加すると、会話ルームに相手の情報が表示される。相手が参加したら通知してくれるので、相手を待つ間は会話ルームを離れてWebブラウジングを行うことができる。

 また、ツールバーやツールメニューから「Firefox Share」や「Firefox Marketplace」といった機能へとアクセスできるようになった。Firefox Shareはサイトを離れることなくソーシャルサービスのアクティベーションとWebコンテンツの共有を可能にするもので、「Share Activation」ページから機能を有効にできる。対応するソーシャルサービスは、Facebook、Twitter、Tumblr、Google+となる。

 技術面では、SSL証明書の有効性を検証するHTTP公開鍵ピンニング拡張が正式に実装され、暗号化された通信の安全性を強化できるようになった。また、CSSフィルタも標準で有効になったほか、動的なスタイル変更の処理を改善することでレスポンスも向上したという。Mac OS X向けでは、Snow Leopard(Mac OS X 10.6)以降でH.264(MP4)の利用を組み込みでサポートした。

 HTML5関連機能では、リソースの読み込み時間などの情報を収集してネットワークの性能を改善するResource Timing APIが実装された。また、WorkerからWebSocketが利用できるようになった。

 開発者向け機能でも多くの機能強化やバグ修正が行われた。たとえばインスペクタで::beforeと::afterの擬似要素を調べられるようになり、インスペクタから「DOMプロパティの表示」が可能となった。

 Android版では独自のダウンロードマネージャではなく、Android標準のダウンロードマネージャを利用するよう変更された。そのほか、ネットワークエラーページへの検索用ダイアログの追加や、Bing検索でのHTTPSの利用、3GなどのセルラーネットワークとWiFiのシグナル情報を共有することでMozillaの位置情報サービス向上に役立てる機能の追加などが行われている。

 Firefox 35はプロジェクトのWebサイトよりWindows、Mac OS X、Linux向けのバイナリやソースコードを入手できる。Android版はGoogle Playよりダウンロードできる。

Firefox
https://www.mozilla.org/ja/firefox/