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0. SourceForge.JP について
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2002-07-02 16:31
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Shuji Sado (佐渡 秀治)
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アスキーのLinux magazine 2002年7月号に掲載されたインタビュー記事全文です。SourceForge.JPの方向性などがわかると思います。
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Japanese
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この記事はアスキーのLinux magazine 2002年7月号に掲載されたものです

「オープンソース革命」はこれから始まる
− SourceForge.jpが目指すもの

オープンソース開発の中心的なサイトである『SourceForge.net』の日本語版 『SourgceForge.jp』が、4月19日に正式運用開始を発表した。しかし、 すでに本家SouceForge.net自体も国際化しているのに、ここであえて 日本語版を公開しなければならなかった理由は何なのだろうか。

日本のオープンソース開発の拠点、SourgeForge.jpはどのような動機で設立 され、そして何を目指すのか、企業としてオープンソースを支援する VA Linux Systemsジャパン株式会社のOSDN事業部チーフマネージャー である佐渡秀治氏と、同事業部エンジニアの安井卓氏に話を聞いた。

開発者が増えないと市場も拡大しない

5月現在、SourceForge.netで行なわれているプロジェクトの総数は4万以上 に及び、開発に参加しているエンジニアも42万人を越えている。事実上、 世界最大のオープンソース開発コミュニティであるといえよう。一方、 それらのプロジェクトを検索してみると、「Natural Language」として 日本語への対応を明示しているのは200プロジェクト程度だ。

「SourceForge.netで開発が行なわれている日本発のプロジェクトというのは、 たとえばw3mやWideStudioなど、よく見ると結構あるのですが、それでも 3桁程度です。これは、SourceForge.net全体から見ると非常に小さい 数字です」(佐渡氏)。

VA Linux Systemsジャパンは、設立当初からOSDNの活動を国内で展開すること を検討していた。その結果として、日本語での議論が可能な情報サイト、 スラッシュドットジャパンやOSDN Japanといったサイトを立ち上げ、 成果を上げている。しかし、SourceForgeに関しては、初めから日本版の サイトを立ち上げようと考えていたわけではなかった。

「最初の頃から、日本でオープンソースのアプリケーションをどうやって 増やすかということについて、SourceForgeを使って何かやろうということは 考えていたんです。でも、SourceForge的なものを多く作っても、 (開発者やプロジェクトが)分散してしまってあまり良くないと考えていて、 当初はSourceForge.netを国際化することを考えていたんです」(佐渡氏)。

しかし、SouceForge.netの国際化や、OSDN Japan、スラッシュドットジャパン などの活動を開始して1年近く経過し、振り返ってみたときに日本発の プロジェクトがほとんど増えていない。一方で、メディアが盛んに、 Linuxなどのオープンソースソフトウェアがエンタープライズ向けや エンベデッド向けの市場で拡大している、と報じているのを見て、 疑問に感じたという。

「オープンソースの世界では、一番底辺を支えているエンジニアが増えて いかないと、市場が広がっていかないんです。そういった人たちが増えて いかないのに、なぜ市場が拡大していると言えるのか不思議ですよね。 確かにオープンソースの世界には国境はないですから、日本は欧米で 生み出される成果を利用することに徹している、という考え方もできます。 実際、SourceForge.netへのWebアクセスだけを見ると、日本人が 相当いるわけです。しかし、将来を見据えていえば、それは日本にとって あまり良くないことだと思うんです。ものを作らなければ、市場は発展 しないはずですから。オープンソースの市場を広げることを考えたときに、 SourceForge.netだけでは限界があるのではないかと感じたわけです。」(佐渡氏)。

SourceForge.netには、米IBMや米SGI、米Intel、米Hewlett Packardなど のデベロッパーが数多く開発に参加している。彼らの多くは趣味ではなく、 勤務時間内に仕事としてオープンソース開発にコミットしているのだ。 彼らは自社の資産をオープンソースとして公開し、より多くの開発者を 集めることに成功している。一方、日本では企業としてオープンソースに 取り組んでいるところはそれほど多くはない。

「日本ではやはり、企業内でのエンジニアの地位がそれほど高くないという のがあります。だから、エンジニアがオープンソースにしたいと思っても、 企業内で開発して自分たちが使うものを、どうして外に出さなければいけない のかと周りに言われてしまうことがあります」(佐渡氏)。

このような状況を打開するためにも、プロジェクトの数が必要だという。

「SourceForge.netがそれだけの影響力を持つようになったのは、圧倒的な 数があったからだと思うんです。プロジェクトやデベロッパー、そして 彼らが書き上げた圧倒的な量のソースコード資産がそこにあるわけです。 我々も同じように、人やソフトウェアを地道に増やして、影響力を強めて いくことができればいいと思っています」(佐渡氏)。

フリーウェアを紹介するWebサイトなどを見ると、日本にも多くの開発者が いることがわかる。そして彼らの多くは、オープンソースに非常に近い ライセンスでソフトウェアを配布していることがある。

「Vectorを調査してみたのですが、フリーウェアって結構あるんです。 ライセンスを見ても、ソースコードもあって改変自由、というものも かなりある。ところが、どこかに雑誌に載せる場合は一報しなければ いけないみたいのがある。この一文さえなければオープンソースなのに、 というのがほとんどなんです」(佐渡氏)。

このようなソフトウェアがすべてオープンソースになれば、それだけで 大量のソフトウェア資産がオープンソースとして提供されることになる。

「我々が'97年頃にオープンソースという言葉を使い始めて、日本でも'98年、 '99年くらいにオープンソース革命としてもてはやされましたけれども、 実は日本ではオープンソース革命はまだ起きていないんです」(佐渡氏)。

本当の「オープンソース革命」を引き起こすこと、それがSourceForge.jp の重大な使命だ。

開発の壁を取り除きたい

インターネットを中心に行なわれているオープンソースのプロジェクト には、3つの壁が存在するという。

「たとえば、会社の隣の席で開発をしていたら、こうしたいと思うんだけど とすぐに相談できますよね。しかしネットワーク上だと、すぐに話せない という距離的、時間的な壁と、さらに言葉の壁があるわけです。その言葉の 壁を取り除いたものがSourceForge.jpということになります」(安井氏)。

確かに、SourceForge.netの国際化が行なわれ、Webページの多くが日本語で 表示することが可能になってはいる。SourceForgeの開発システムについて 知識のあるユーザーなら、問題なく使えるレベルだ。しかし、メーリング リストなどのコミュニケーションツールでは日本語を利用することができない。 日本人のデベロッパー同士であったとしても、SourceForge.netを利用して 開発を行なう場合には、英語でコミュニケーションする必要が生じてしまう。

「SourceForge.jpの場合、すべて日本語ですので、そういう意味では 垣根が低いです」(佐渡氏)。

しかし、SourceForge.jpはSourceForge.netの単なるローカライズ版と いうわけではない。

「申請のベースなどは日本語で案内が出ますけど、プロジェクト単位で SourceForge.jpのWebページを英語のブラウザで見に行くと、すべて英語で 表示されるんです。英語圏のユーザーも入りやすいようにしています。 だから、実際にはバイリンガルなシステムなんです」(佐渡氏)。

SourceForge.jpは、Webホスティング、メーリングリスト、BBSといった コミュニケーションツールから、CVSサーバやSSH環境、コンパイルファーム、 バグトラッカといった開発ツールに至るまで、オープンソース開発に 必要なあらゆる機能を提供している。デベロッパーはこれらすべての ツールを自由に利用することが可能だ。

「今までは開発を始めようとすると、WebページやCVSサーバを用意して、 それに全員のユーザー登録をして、というのがあったわけですけれど、 SourceForgeを使えばそういう作業はWeb上で一括してできますし、 オープンソースの開発ツールとしてはベストだと思っています」(安井氏)。

「オープンソースの開発だと、ISPのサービスを受けたりして行ないますが、 ISPではそのような機能は制限されていることが多いわけです。しかし、 SourceForgeではそういった機能制限はほとんどありません」(佐渡氏)。

SourceForgeが提供する機能自体、開発を始めるための準備、という障壁を 取り去るものであるといえよう。

一方、現在提供されているSourceForge.jpの機能は必ずしも SourceForge.netと同じものではない。

「たとえばドキュメント管理エンジンやファイルリリースのシステムは、 SourceForge.jpのほうが洗練されたシステムを使っていますし、一方で SouseForge.netには、メーリングリストの全文検索機能とか、各プロジェクト が自由に使えるデータベースがあります。それらは近いうちに SourceForge.jpでもサポートする予定です」(佐渡氏)。

SourceForgeでの開発は、フリーウェアの開発などと違い、多くの場合 公開された環境で、共同で作業を行う。

「SourceForgeの開発はすべてオープンになっていて、ソースコードは もちろん、バグトラッキングなどもすべてオープンです。これまで ソフトウェア開発に関わっていなかった人たちも、開発の様子を目の当たり にすることができるわけですよね」(安井氏)。

SourceForge.jpに登録されているプロジェクトはすでに100件を越えて いるが、必ずしもソフトウェア開発プロジェクトだけではない。 ライセンスのあり方を検討するプロジェクトや、ドキュメントを整備する プロジェクト、ユーザーグループなどといったプロジェクトも登録されている。

「我々はオープンソースを支援するという立場ですので、SourceForgeの ツールを使った方が便利だと思ってくれているプロジェクトであれば、 必ずしもソフトウェア開発でなくてもオープンソースのプロジェクト として登録しています」(佐渡氏)。

これは、デベロッパーでない人でもオープンソースの開発に関わることが できることを意味する。これまでユーザーだった人が、開発に目を向ける きっかけとなりうるだろう。

「ユーザーができるだけ開発に目を向けることで、面白いソフトウェアや 何らかのアイディアが出てくるかもしれません。SourceForge.jpでそれが ある程度実現されるとうれしいですね」(安井氏)。

真にユニバーサルな環境を目指して

SourceForge.jpの将来のビジョンについて聞くと、2人からは意外な答えが 返ってきた。

「個人的には、遠い将来にはSourceForge.jpがなくなった方がいいと 思っています」(安井氏)。

「こういう言い方はまずいのかも知れませんが、SourceForge.jpは必要悪 なのかも知れません」(佐渡氏)。

彼らがともに目指すのは、日本にいるデベロッパーが、初めから SourceForge.netでプロジェクトを開始できるようになることだ。 SourceForge.jpは、そのために用意されたひとつのステップに過ぎない。

「以前、日本語化されたDebianを開発するためにDebian JPプロジェクトが ありましたが、今ではDebian JPではパッケージをリリースしてはいません。 Debian JPはあくまでもDebianではなかったからです。現在では、Debian JP の成果物もDebian本体に取り込まれていまして、そういう意味で、 Debianは単に国際化したシステムではなく、ユニバーサルなシステムに なっているわけです。SourceForgeも、そういった真にユニバーサルな システムを目指します」(佐渡氏)。

「国際化」することと「ユニバーサル」なものになることの違いとは どのようなものなのだろうか。

「国際化というのは、国と国の間に境目がある概念ですよね。だから 国際化といってしまうと、そこにネーションやナショナリズムの 壁があるように見えます。ユニバーサルというのはどこに行っても 一緒のもの、同じものが使えるという意味です」(佐渡氏)。

現在、機能的にも微妙な違いのある本家SourceForge.netとSourceForge.jp をユニバーサルなものにするために、今後どのようにしてゆくのだろうか。

「8月にはSourceForge 2.7が公開される予定でして、今後バージョンが 上がるごとにどんどん統合されて、Web的にはほとんど境目がなくなると いうところまでいけるかもしれません。ただ、システム全体が非常に 巨大なものですので、データベースレベルでの統合といったことは、 それほど簡単ではないでしょう」(佐渡氏)。

システムの統合まではいかなくとも、プロジェクトを相互に紹介するため のシステムを近いうちに用意する予定があるそうだ。

「近い話ですと、今後、半年以内くらいをめどに、日本のプロジェクト のニュースなどを、XMLベースでSourceForge.netに紹介するような システムを用意したいと考えています」(佐渡氏)。

SourceForge.jpは開始から1カ月足らずで、すでに100プロジェクト以上 をホストし、1000人以上のディベロッパーが開発に参加している。 このペースが今後も持続して行けば、日本でも本当の 「オープンソース革命」が現実のものになるかもしれない。

SourceForge.JP is a Japanese version of SourceForge.net. For developments that are not related to Japan, we recommend you to use SourceForge.net.