Google CEOのシュミット氏、「IE7」の検索機能にあらためて懸念を表明

Googleは、Microsoftの次期Webブラウザ「Internet Explorer 7(IE7)」の検索機能がデフォルトで「MSN Search」に設定されていることについて懸念しているが、それに対してGoogleがWebブラウザを新たに開発することはない──。米国グーグルのCEO、エリック・シュミット氏は、5月31日に開かれた金融アナリストおよび投資家向けのセッションで、上のように説明した。

 米国Microsoftが現在ベータ・テストを進めているIE7の検索ボックスは、ドロップ・ダウン・メニューで複数の検索エンジンを選べるようになっているが、デフォルトではMicrosoftの検索サービスが設定されている。これについてGoogleの幹部たちは数カ月間にわたり不満を示してきた。

 シュミット氏は、この日のセッションで、「Microsoftの行為は公平で正しいものと思えない」とあらためて懸念を表明した。

 この件についてGoogleはすでに米国司法省(DOJ)と欧州委員会に苦情を申し立てているが、DOJは先ごろ、Googleの主張には根拠がないとしてその苦情を却下している。また、Googleの主張は、Mozillaの「Firefox」の検索ボックスがデフォルトでGoogleに設定されていることと矛盾している、とGoogleの批判者たちは指摘している。

 一方、シュミット氏は、ブラウザ市場には多数の選択肢が存在することから、需要がないかぎり、Google独自のWebブラウザを開発することはないという考えを示した。

 「われわれの決定は、エンド・ユーザーの要望に基づいて下したものであって、競合他社に対する防衛措置として決めたわけではない。優れたWebブラウザはたくさん存在するし、ユーザーの選択の幅も広い」(シュミット氏)

 現在、最も広く使用されている検索エンジンはGoogleだが、Yahoo!、Microsoftなどは、検索広告の市場シェア向上を目指し、多額の資金を投入している。昨年、その額はオンライン広告への支出額125億ドルの約40%を占めた。オンライン広告市場の成長率は2005年に約30%に達し、当分の間は堅調な成長を維持すると見られている。

 Googleの製品管理担当シニア・バイスプレジデント、ジョナサン・ローゼンバーグ氏は、同社における最近の大きな成功として、2004年10月にデジタル地図作成・配信の米国キーホールの買収と、その後同社の衛星画像マッピング技術をGoogleの地図検索サービス「Google Local」へ組み込んだことを挙げた。「キーホールの技術によって、Google Localの利用を促し、ユーザーと広告会社に魅力的なサービスを提供することができた」とローゼンバーグ氏。

 一方、同氏は、Googleが昨年試みた雑誌広告枠の再販が期待どおりにうまくいかなかったことを認めている。だが同氏は、「われわれはまだあきらめていない。この取り組みはごく初期段階にあるため、雑誌のプロデューサーたちと協力しながら今後、さらに最適な広告フォーマットを考え出していく必要がある」と述べている。

 GoogleとDellが先週、DellのPCにGoogleの検索ソフトウェアをインストールして出荷することで合意したことについて、シュミット氏は「幸福の絶頂にある」と喜びを隠さない。両社が6カ月間実施したバンドリング・テストによる顧客からの反応は圧倒的に良好だったという。同氏は、「当社とDellの双方にとって有利な状況が生まれた。今後、提携の範囲を拡大する可能性はきわめて高い」と語っている。

(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)

米国Google:http://www.google.com/

提供:Computerworld.jp