Firefoxユーザーお断りサイトが登場――広告ブロック・アドオンへの抗議措置として

 あるWebサイト・オーナーは、自分のWebサイトへ「Firefox」ユーザーがアクセスすることを“拒否”している。理由は、広告表示をブロックするアドオン「Adblock Plus」の利用に抗議するためだ。

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「Why Firefox is Blocked」には「(Webサイトが表示されないことで)あなたが気分を害したのなら、それはMozillaが不正な製品を是認しているからだ」と書かれている

 Firefoxユーザーが「JackLewis.net」にアクセスしようとすると、「Why Firefox is Blocked」というWebページにリダイレクトされる。同Webページには、「Adblock Plusは、広告収入に依存するWebサイトに大打撃を与えている」との主張が展開されている。

 JackLewis.netもWhy Firefox is Blockedも、Webデザイナー/クリエーターのダニー・カールトン氏が開設したものだ。同氏は、「Adblock Plusを利用して広告表示をブロックし、コンテンツのみを表示させようとするのは、窃盗と同じだ」と記している。ちなみにJackLewis.netは、同氏の個人的なブログ・サイトである。

 カールトン氏の行動は、収入源を広告に依存し、無料コンテンツを配信するWebサイトが抱えるジレンマを象徴しているとして、注目を集めている。

 広告表示をブロックする無料ツールは、Adblock Plusだけではない。例えば、OSのシステム・ファイルである「Hosts File」を利用すれば、広告表示をブロックすることが可能だ。また、Webブラウザでコンテンツの表示を規定するCSS(Cascading Style Sheet)ファイルを一部変更しても、広告表示をブロックできる。

 カールトン氏は、すべてのFirefoxユーザーをブロックした理由について、「Adblock Plusを利用しているユーザーだけをブロックする手段がなかったため」と説明している。なお同氏は、Firefoxユーザーのアクセスをブロックする、PHPおよびJavaScriptのコードも公開している。

 カールトン氏はIDG News Serviceの取材に対し、「基本的にノーコメント」としながらも、Firefoxユーザーをブロックしたことで、“熱狂的なFirefoxファン”からの“節度を超えた”非難にさらされていることを明らかにした。

 Adblock Plusは、Firefoxを開発している米国Mozilla CorporationのWebサイトで、2番目に人気の高いFirefoxアドオン・ツールとして紹介されている。また、PC World誌の「2007年度ベスト100製品」にも選出されている。

 Adblock Plusの作者であるウラジミール・パラント氏は今年、「Adblock Plusがユーザーに支持されているのは、多くのWebサイトが大量の広告を表示してユーザーを閉口させているからだ」と、自身のブログでコメントしていた。

 「Webサイトの運営者は、ユーザーにできるだけ多くの広告を見せることが、最良のビジネス戦略だと思い込んでいる。Adblock Plusを普及させているのは、Webサイトの運営者にほかならない。Adblock Plusの普及を“ブロック”するには、ユーザーが表示させたいと思う形式で、広告を提供することだ」(パラント氏のブログより)

(ジェレミー・カーク/IDG News Service ロンドン支局)

米国Mozilla Corporation
http://www.mozilla.com/

提供:Computerworld.jp