FirefoxアドオンのGlubbleは子供用インターネットフィルタとして扱いにくいうえ、縛りが強すぎる

  Glubble は、Glaxstar社からフリーのプロプライエタリソフトウェアとして提供されているFirefoxアドオンである。インターネット上で子供がやることを制限するためのソフトウェアであり、特定Webサイトへのアクセスを阻止し、Google検索の結果をフィルタにかける。親にとっては、インターネットの有害サイトからわが子を守るのに絶好のツールとも見えるが、実際にGlubbleを使ってみた経験から言うと、このインターネットフィルタにはさまざまな問題があり、解決は容易でない。

 Glubbleの入手とインストールは簡単である。Glubble.comから当該アドオンをダウンロードし、Installをクリックするだけでよい。あとは、Glubbleアカウントを親用に1つと、子供用に1人につき1つずつ作成する。GlubbleはFirefoxブラウザ上でただちに動作を開始し、「塀のある庭」をセットアップする。初期状態のこの庭には、よく知られた小学生向けのサイトが数十個並んでいる。親用にも地味なアカウントがセットアップされ、ここでは必要サイトの追加と不要サイトの除去ができる。もちろん、子供ごとに庭の構成を違えることができる。Glubble用語では、できあがった庭をその子の「秘密のホームページ」と呼んでいて、ブラウザ上部には全員のタブが並び、子供はそこから自分のタブをクリックして、自分のホームページにアクセスする。このクリックでFirefoxが再起動し、実行中の他アドオンはすべて無効化されて、その子のために用意された安全な環境が現れる。親のアカウントからは子供1人1人のやることが見え、監視できる。子供はサムネール画像で自分のホームページをカスタマイズでき、「塀のある庭」に追加してほしいサイトがあれば、それを親に頼める。

 Glubbleが子供用の面白サイトを探し出す能力はなかなかのものだ(Glaxstar社には自前の編集部門があって、これはと思うサイトを拾い上げては、デフォルトのアクセスリストに加えている)。だが、そのサイトにアクセスして、そこのゲームをやり、アニメーションを見ようとすると問題が起こる。GlubbleなしのFirefox上では支障なく動作するのに、Glubbleインタフェースでは動作しないものが実に多い。幼い子をBarbie.comで自由に遊ばせているとき、ゲームをやろうとしてできなかったらどうなるだろう。きれいなバナー広告をクリックし、電子商取引サイト(不思議なことにフィルタにひっかからない)に飛ばされて、名前やメールアドレスを入力させられるはめになるかもしれない。広告をブロックしておけばいい? いや、子供がアカウントにログインするときすべての拡張機能が無効化されるから、それもできない。

 技術的に見れば、Glubbleはやるべきことをちゃんとやっている。きわめて厳格な網羅的フィルタリングシステムをセットアップする。ユーザは硬い制約の中に閉じ込められ、マスターパスワードなしではその制約から逃れられない。だから、理論上は、親は幼い子をGlubbleの前にすわらせ、いくつか基本的な指示を与えるだけで、あとは放っておいても子供が妙なところに入り込む心配などせずにすむ……はずである。

 だが、インターネットに慣れ親しんだ子を5人も持つ母親からすると、言いたいことがいくつかある。まず、Glubbleは保護の対象を小学生に見定めているようだが、インターネットの危険から最も保護してやらなければならない年齢層は、それとは違うのではないか。幼い子は、普通、自力でURLなどタイプできないし、インターネット上最大の危険地帯とも言える検索エンジンの使い方など知らず、使う理由もわからない。ほんとうの危険は、子供の年齢がもう少し上がったとき――GoogleやYouTubeに「悪い言葉」を入れると、どんな面白い結果が得られるかがわかりはじめたとき――始まるものだろう。しかも、Glubbleは幼い子のインターネット経験を台無しにする。それはサイトのフィルタリングの結果ではなく、むしろインタフェースの扱いにくさのせいだ。子供は顔をしかめ、頭を掻きながらコンピュータの前を立ち去るか、何度も何度も母親を呼んで助けを求める。親の直接的な指導・監督を不要にする――それがGlubbleの存在理由ではなかったのか。それとも、親の関与に勝るものはないということなのか。

 最も保護を必要とする中学生という年齢層は、宿題やら何やらで、インターネットに出ていく機会と必要が大幅に増える年齢層でもある。だが、その中学生を保護するという観点からすると、Glubbleは実に頼りない。たしかにアダルト関連の情報はシャットアウトするが、同時にほかの情報も一緒くたにシャットアウトする。自分の子が何を見て、何を見ないか――それをどこかの編集委員会に決めてもらうという考え方に、筆者はどうしてもなじめない。状況によっては、子供が大人向けの情報を見ることが望ましいことさえあるのに、インターネットフィルタは文脈を無視する。Glubbleだけではないが、Glubbleも例外ではない。

 筆者の12歳の息子はNickJr.comにはもう興味がない。それどころか、Glubbleが最初から無条件で立ち入りを認めるようなサイトには、もう見向きもしない。だから、この息子用にGlubbleをカスタマイズするのは並大抵のことではなかった。なのに……。たとえば、息子が「American Revolution(アメリカ独立革命)」について調べたいとする。息子はクールに作られた自分の「秘密のホームページ」で、Google検索バーに「revolution(革命)」と打ち込んでみる。何も返ってこない。そこで、「war(戦争)」で試してみる。やはり何も返ってこない。そこでママを呼ぶ。またまた、わが子のインターネット活動に直接関与する事態の出来だ。筆者は半ばあきらめムードで「しかたない」とつぶやく。「あと1度だけ大目に見ましょう」

 Glubbleは、一見するとクールなツールだ。だが、これを30分もいじっていると、いらいらしてくる。よくて「扱いにくい」、最悪で「役立たず」というのが筆者の得た感想である。

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Tina Gaspersonは、1998年以来フリーランスライターとして、業界で最も注目されるいくつかの刊行物に寄稿しつづけている。

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