過去10年間の集大成となるRed Hat Enterprise Linux 6正式版が登場

 米Red Hatは11月10日(米国時間)、「Red Hat Enterprise Linux 6(RHEL 6)」正式版を発表した。米サンフランシスコで開催した発表イベントで同社製品・技術担当社長のPaul Cormier氏は「商用OSはLinuxとWindowsの2つになった」と述べ、Linuxが新しい段階に入ったことを印象付けた。

 RHEL 6はこれまでの10年間における開発の集大成となり、600人年の開発工数を費やしたという。パッケージ数は前バージョンから85%も増えており、顧客やパートナーからリクエストが多かった機能も盛り込んだ。その数は1821種類にも上るという。

 同時に、RHEL 6は今後10年間に向けた土台という位置づけも持つという。Linuxはデータセンターで利用されており、「今日、そして将来の中心となることを目指す」とCormier氏は述べる。RHEL 6はそれに向け、クラウドインフラを念頭において設計されているとのこと。

 技術面からRHEL 6を説明したプラットフォーム事業担当ゼネラルマネージャ兼副社長、Jim Totten氏は、1)今日のIT実装向けに最適化(拡張性、性能、リソース管理、セキュリティ)、2)グリーンITへのフォーカス(省電力、電源管理)、3)仮想化とクラウドのプラットフォーム、という3つのポイントから最新版を紹介した。

 たとえば拡張性ではハードウェアの進化を活用すべく、最大64TBまでの物理メモリをサポートするようになった。CPU数は従来版の64個から4096個に増え、より大規模なシステムにも対応できる仕様となっている。カーネルもNUMAアーキテクチャ対応となり、メモリもキャッシュとNUMAを強化、大規模メモリ向けの最適化が行われている。仮想化でもゲストのCPUが最大64に対応可能となっている。ファイルシステムはデフォルトがext4となり、16TBまで拡張できる。オプションのXFSでは100TBをサポートするという。これらに加え、プロセスをグループ単位で管理するリソース管理機能「cgroup」も導入した。電力効率では、RHEL 5.5と比べアイドル状態の消費電力を20%削減できるという。

 発表会では触れなかったが、RHEL 6ではハイパーバイザー「KVM」が標準となり、物理デバイスへのアクセスとして「SR-IOV」「NPIV」をサポート、セキュリティ機能「sVirt」も加わるなど、多数の新機能や機能強化が行われている。ハードウェアでは米Intelの最新CPU「Nehalem」対応などが加わった。

 Red Hatは最新のRHELをUNIXユーザーのマイグレーション、Windows Serverユーザーの代替として位置づけている。新しい10年のスタート地点に立つにあたり、「LinuxはIT部門の隅々に深く浸透し、Windows Serverエコシステムを侵食する」とCornier氏は自信を見せた。

米Red Hat
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