英Canonicalが「Ubuntu 14.04LTS」をリリース

 英Canonicalは4月17日、LinuxディストリビューションUbuntuの最新版「Ubuntu 14.04」(開発コード「Trusty Tahr」)をリリースした。サポート期間が5年間となる長期サポート版となる。

 2013年10月にリリースされたUbuntu 13.10(Saucy Salamander)以来のメジャーリリースとなり、また2年ごとにリリースしている長期サポート(Long Time Support、LTS)版としては2012年4月に公開されたUbuntu 12.4(Precise Pangolin)以来のリリースとなる。本バージョンのサポート期間は2019年4月まで。

 Linuxカーネルにはバージョン3.13を採用、これによりOpen vSwitch 2.0.1のサポートや温度・電源管理機構の強化、XenやKVMでのARMサポート、ファイルシステムでのパフォーマンス向上、ハードウェアサポートの向上と言ったメリットを受けられるという。また、デスクトップ版においてはPython 2系がデフォルトでは含まれなくなり、Python 3系のみが含まれるようになっている。セキュリティ機構「AppArmor」にも新機能が追加されている。

 ユーザーインターフェイスツールキット「Unity」ベースのデスクトップでは、ウィンドウ装飾が改善され、外観やパフォーマンスが向上したという。高精細ディスプレイのサポートも行われたほか、アプリケーションのメニューをデスクトップ上部のメニューバーでは無くウィンドウのタイトルバー内に表示させるオプションも提供されるようになった。スマートフォンやタブレットのサポートを視野に入れて開発している新版「Unity 8」ベースのデスクトップもプレビュー版として提供される。 。

 そのほか、GNOMEコントロールセンターから派生したUbuntu固有の設定アプリケーションの提供やファイルマネージャ「Nautilus」の改善なども行われている。「LibreOffice 4.2.3」や「Xorg X11 15.0.1」など、搭載されるアプリケーションもアップデートされている。

 サーバー向けエディションである「Ubuntu Server」では、サービスオーケストレーションツール「Juju」がバージョン1.18.1にアップデートされたほか、IPSecベースのVPN実装「strongSwan」がサポートされた。設定管理ツール「Puppet 3」も搭載されている。そのほか仮想化/クラウド関連では「Xen 4.4」や「Ceph 0.79」、「Qemu 2.0.0」、「Libvirt 1.2.2」、「LXC 1.0」、「MAAS 1.5」といったソフトウェアが利用できる。

 MySQLについては公式には「MySQL 5.5」を提供するが、互換性のある「MariaDB 5.5」や「Percona XtraDB Cluster 5.5」、「MySQL 5.6」も利用可能。Webサーバーには「Apache 2.4」が、PHPはバージョン5.5が提供される。

 また、スマートフォンやタブレット向けの「Ubuntu Touch」も同時にアップデートされた。公式なサポートは提供しておらず、まだ実験的な段階ではあるとのことだが、「Nexus 4」や「Nexus 7」、「Nexus 10」といったデバイス向けのビルドが提供されている。

 折しも4月8日のWindows XPのサポート切れのタイミングでのLTSリリースとなり、CanonicalはUbuntuデスクトップの安全性、信頼性、安定性、高いコスト効果などを強調している。12.04LTSからのマイグレーションツールのほか、Windowsファイルフォーマットとの互換性やアプリ配信に必要なツールなどを備えているという。フランス警察、インド政府、デリー大学などでUbuntuデスクトップが採用されていると導入実績も紹介している。

Ubuntu
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